ゴルフをしていると、一度はこんなアドバイスを聞いたことがあると思います。
「アイアンはダウンブローで打て」
「ボールの先のターフを取れ」
「もっとボールを潰せ」
「もっと左に乗れ」
「ボールを右に置け」
どれも、クラブがボールへどう入ってくるかに影響を与えようとするアドバイスです。
でも、ここには大きな問題があります。
ダウンブローは、深ければ深いほど良いわけではありません。
本当に考えるべきなのは、
「どうすればもっとダウンブローに打てるか?」
ではありません。
もっと大事なのは、
「そもそも、自分はもっとダウンブローに打つ必要があるのか?」
です。
その答えは、入射角だけでは決まりません。
理想を言えば、僕は次の数字を見たいです。
- 入射角(アタックアングル)
- ダイナミックロフト
- ヘッドスピード
- スピンロフト
- 打ち出し角
- スピン量
- 弾道
なぜなら、大事なのは組み合わせだからです。
同じように浅い入射角でも、十分に機能するアイアンショットを打っている人もいます。
一方で、
- 打ち出しが低い
- スピンが少ない
- 弾道が低い
- ランが出すぎる
- グリーンで止まらない
という人もいます。
この2人に、同じように
「もっとダウンブローに打ちましょう」
と言うのは違います。
まず、なぜキウイゴルフの話を聞く価値があるのか
僕はキウイコーチです。
日本で活動しているアメリカ人ゴルフコーチとして、キウイゴルフでは感覚だけに頼らず、スイングを映像で測ることを大切にしています。
これまで、金本知憲さん、Sho-Time Golf、Yuji Gordonさん、YONEX、ゴルフダイジェストなど、日本のゴルフ・スポーツ業界のさまざまな方やブランドと企画・撮影・指導を行ってきました。
現在、キウイゴルフ全体ではフォロワー数が10万人を超え、毎月およそ70万アカウントにリーチし、コンテンツは月間約300万〜600万回再生されています。

また、キウイゴルフが制作しているPGAガイドは、これまでに5,400人以上の日本のゴルファーに購入されています。
ただし、この記事で一番大切なのは、
「僕を信じてください」
ではありません。
キウイゴルフでは、
- スイングを動画で撮影する
- 明確なチェックポイントを見る
- OKゾーンと比較する
- 試した感覚で本当に動きが変わったか確認する
という方法を使います。
つまり、
誰が言ったかだけでなく、自分のスイングで実際に確認できること
を重視しています。
この記事も、その考え方をベースに解説します。
入射角だけを最適化しても意味がない
例えば、2人のゴルファーが7番アイアンを打っているとします。
どちらも入射角は比較的浅く、
-2°前後
だったとします。
数字だけを見れば、
「もっとダウンに入れた方がいい」
と思うかもしれません。
でも、それだけでは判断できません。
1人目は、インパクト時のダイナミックロフトも少なすぎるとします。
すると、
- 打ち出しが低い
- スピンが少ない
- 弾道が低い
- ランが多い
という球になりやすくなります。
このゴルファーは、もっと入射角をマイナス方向へすることが役立つかもしれません。
ただし、それと同時にダイナミックロフトを増やす必要がある可能性もあります。
もし、
「もっと打ち込め」
だけを意識して、さらにロフトまで減らしてしまえば、弾道はもっと機能しなくなるかもしれません。
一方、もう1人のゴルファーは同じ-2°でも、
- ヘッドスピードが遅め
- ダイナミックロフトが多め
- スピン量が適正
- 打ち出し角も適正
- 弾道が十分高い
- グリーンでもしっかり止まる
とします。
この人も、技術的にはもっとダウンブローにできます。
でも、
今の弾道がすでに機能しているのに、なぜ変える必要があるのでしょうか?
ここが最初の大事なポイントです。
入射角は、単独で最適化するものではありません。
ダイナミックロフト、ヘッドスピード、スピンロフト、そして最終的な弾道とセットで考える必要があります。
プロのようなダウンブローが、アマチュアには逆効果になることもある
この違いは、ヘッドスピードが速い人と遅い人を比べると分かりやすくなります。
例えば、ヘッドスピードの速いプレーヤーが7番アイアンで、
- 入射角:-6°〜-7°
- ダイナミックロフト:19°〜20°
くらいで打っているとします。
一般的な7番アイアンの静的ロフトが35°前後だとすれば、インパクトではかなりロフトを減らしていることになります。
でも、ヘッドスピードが速ければ、この組み合わせでも、
- 十分な打ち出し
- 十分なスピン
- 高さのある弾道
- グリーンで止まる落下角度
を作れます。
だから、そのプレーヤーにとっては機能します。
では、同じようなインパクトを、7番アイアンのヘッドスピードが35m/s前後、あるいはそれ以下のゴルファーが再現したらどうでしょうか?
ミートした瞬間は、ものすごく良い当たりに感じるかもしれません。
ミート率(スマッシュファクター)も上がるかもしれません。
でも、実際のゴルフショットとしては悪くなる可能性があります。
例えば、
- 打ち出しが低すぎる
- 弾道が低すぎる
- キャリーが伸びない
- ランが多すぎる
- グリーンで止まりにくい
といった結果です。
このようなゴルファーなら、
- 入射角:-2°〜-4°程度
- もう少し多いダイナミックロフト
- 少し浅めの入射
の方が、機能する可能性があります。
ここで言いたいのは、
この数字が全員にとって正解
ということではありません。
重要なのは、
ヘッドスピードが速い人と遅い人では、必要な入射角とダイナミックロフトの組み合わせが違う
ということです。
だから、プロのダウンブローをそのままコピーする必要はありません。
では、自分はもっとダウンブローに打つべきなのか?
理想を言えば、TrackManやGCQuadなどの弾道計測器を使うのが一番です。
そこで、
- 入射角
- ダイナミックロフト
- スピンロフト
- ヘッドスピード
- 打ち出し角
- スピン量
- キャリー
- 弾道
を確認できます。
これが最も正確です。
でも、毎回TrackManやGCQuadを使えるゴルファーは多くありません。
そこで、スマホ動画だけでも使える実用的なチェックポイントがあります。
それが、
後方(DTL)から見たP6.5のシャフト角
です。
スマホで確認するなら、P6.5のシャフト角を見る
まず、スイングを後方(DTL/飛球線後方)から撮影します。
P6.5で、グリップエンドに角度の頂点を置きます。
そこから、
- 1. 1本目の線をシャフトに沿わせる
- 2. 2本目の線を地面に対して垂直に、真下へ引く
こうすると、1つの角度ができます。
アイアンでは、だいたい
20〜30°
がOKゾーンです。
一般的には、
- 20°より小さい → よりシャローな入射になりやすい
- 20〜30° → OKゾーン
- 30°より大きい → よりスティープで、ダウンブローになりやすい
と考えられます。
ただし、ここで重要なのは、
P6.5のシャフト角 = 実際の入射角
ではないということです。
まだインパクトまで時間があります。
その間に、
- 体が起き上がる
- クラブをリルートする
- 手元の動きが変わる
- 体の動きが変わる
ことで、最終的な入射角は変化します。
だから、P6.5はTrackManの代わりではありません。
ただし、
スマホ動画だけで「浅すぎるのか、スティープすぎるのか、すでにOKゾーンなのか」を判断する
という目的では、非常に使いやすいチェックポイントです。
「もっと打ち込む」という感覚が正しいかどうかは、P6.5で確認する
例えば、あなたが今、
「もっとボールを上から打つ」
「もっとダウンブローに打つ」
という感覚を使っているとします。
その感覚自体が正しいか、間違っているかは重要ではありません。
重要なのは、
その感覚を使った結果、実際のスイングがどうなったのか
です。
P6.5が20〜30°以内
そして弾道も機能しているなら、その感覚に大きな問題はない可能性があります。
その感覚が、あなたをOKゾーンの動きへ導いているからです。
P6.5が20°より小さい
比較的シャローな入射ポテンシャルがあります。
この場合は、少しだけ入射をダウン方向へ変えることが役立つかもしれません。
P6.5が30°を超えている
すでにかなりスティープで、ダウンブローになりやすい状態です。
この状態でさらに、
「もっと打ち込む」
という感覚を強くするのは、あまりおすすめしません。
別の感覚に変える。
もっと具体的な感覚に変える。
あるいは、そもそも何も変えない。
という選択肢があります。
ここでも大事なのは、
感覚は入力。チェックポイントが、その感覚で実際に何が起きたかを教えてくれる。
という考え方です。
P6.5がOKでも当たりが悪いなら、正面(フェースオン)でも確認する
P6.5は非常に便利ですが、それだけですべてを判断できるわけではありません。
P6.5のシャフト角がOKゾーンなのに、まだ当たりが悪い。
そんな場合は、正面(フェースオン)から次の2つも確認します。
1. インパクトでの胸骨と骨盤中心の差
インパクトで、
- 胸骨
- 骨盤の中心
の位置関係を見ます。
あるいは、右サイドの側屈量を見るイメージでも構いません。
多くのアイアンでは、
0〜10°程度
がOKゾーンです。
P6.5が良くても、この差が大きすぎれば、インパクトの形は大きく変わります。
2. 体全体の左右移動
アドレス時に、左股関節から真下へ縦線を引きます。
そして、インパクトでどれくらい左へ移動したかを確認します。
一般的には、
左脚の半分以上が、その基準線より左へ出ない
くらいが1つの目安です。
つまり、TrackManがなくても、
- P6.5のシャフト角
- 胸骨と骨盤中心の差
- 体全体の左右移動
を確認すれば、
「もっとダウンブローにした方がよさそうか?」
をかなり実用的に判断できます。
そもそも「最下点」とは?
ダウンブローの話をすると、必ず出てくるのが最下点(ローポイント)です。
最下点とは、
クラブが地面に対して最も低い位置に到達し、そこから上方向へ動き始める直前のポイント
です。
一般的には、
- アイアン:最下点はボールより先
- ドライバー:最下点はボールより後ろ
になります。
そして、最下点はクラブによって変わります。
一般的には、
- ショートアイアンほど、最下点はボールより先になりやすい
- ロングアイアン、ユーティリティ、フェアウェイウッドほど、最下点はボールより先に出る量が少なくなる
- ドライバーはさらに別
という考え方です。
ただし、ここでも重要なのは、
全員に共通する「理想の最下点○cm」という数字はない
ということです。
最下点は、
- クラブ
- ヘッドスピード
- 入射角
- ダイナミックロフト
- 必要な弾道
によって変わります。
ヘッドスピードが速い人なら、最下点がより前でも機能することがあります。
ヘッドスピードが遅い人なら、そこまで前でなくても十分に機能することがあります。
でも、最下点は普通のゴルファーには測りにくい
ここが、実際の練習ではかなり重要です。
よく、
「最下点をもっとボールの先にしましょう」
と言われます。
理屈としては分かります。
でも、
どうやって自分で正確に測るのでしょうか?
TrackManやGCQuadがなければ、最下点を正確に測るのはかなり難しいです。
天然芝からアイアンを打っていて、はっきりしたディボットが取れるなら、ターフの跡から多少の情報は得られます。
でも、
- 全員が大きなディボットを取る必要はない
- 浅い入射でも良いアイアンショットは打てる
- 芝をほとんど削らない良いショットもある
- マットではターフ跡自体が残らない
ので、一般的なセルフチェックとしては実用性が低いです。
最下点は理解しておくべき重要な概念です。
でも、
スマホ動画だけで自分のスイングを確認するなら、P6.5の方が実用的
です。
よく見る「ダウンブロー」のアドバイスは本当に正しい?
ここまでは、
「自分は本当にもっとダウンブローに打つ必要があるのか?」
という本筋の話をしてきました。
ここからは、YouTubeやレッスン記事でよく見る代表的なアドバイスについて整理します。
どれも、使い方によっては役立ちます。
ただし、
何を直すために使っているのか
を理解せずに使うと、逆効果になることがあります。
「ボールの先のターフを取れ」は本当に正しい?
必ずしもそうではありません。
多くのゴルファーは、
良いアイアンショット = ボールの先に大きなターフを取る
と思っています。
でも、必ずしも大きなディボットは必要ありません。
Tiger Woodsも、自分が良いゴルフをしているときは非常に小さなディボット、あるいはほとんどディボットを取らないことがあると話しています。
もちろん、これはあくまで1人のプロの感覚なので、それだけを絶対的な事実として扱うべきではありません。
ただ、TrackManやGCQuadで分かる物理的な関係を見ても、
大きなターフを取らないと良いアイアンショットが打てない
ということはありません。
プロのようなディボットは、
- ハンドファースト量が多い
- ダイナミックロフトが少ない
- 入射角がよりマイナス
- リーディングエッジが芝へ入りやすい
という条件で起こりやすくなります。
ヘッドスピードの速いプレーヤーには、それが必要になることがあります。
なぜなら、ロフトを減らして、
- 打ち出しが高くなりすぎる
- スピンが増えすぎる
- 吹け上がる
のを防ぐ必要があるからです。
一方で、ヘッドスピードが遅めのプレーヤーは、
- もう少し浅い入射角
- もう少し多いダイナミックロフト
の方が、
- スピン
- 打ち出し
- キャリー
- 全体の弾道
が機能することがあります。
だから、
「プロみたいなターフを取る」
こと自体を目標にする必要はありません。
もちろん、ディボットを取るショットが役立つ場面もある
だからといって、
ディボットは悪い
という意味でもありません。
例えばウェッジでは、
少しロフトを抑えて、低い弾道で運ぶ
ショットは非常に役立ちます。
距離感は、球が高くなればなるほど難しくなることがあります。
それよりも、
- 少し低い弾道
- 距離のコントロールがしやすい
- ラン量も予測しやすい
ショットの方が使いやすい場面があります。
ウェッジなら元々ロフトも多いため、少し低く打ったとしても、一般的なグリーンコンディションなら十分なスピンを残せることも多いです。
つまり、
少しロフトを抑えて、低いウェッジを打つ
という技術は、ヘッドスピードが遅い人にも役立ちます。
またしても、
そのショットが目的に合っているかどうか
が重要です。
「いつでもターフを取れ」
ではありません。
「ボールをもっと潰せ」「コンプレッションを高めろ」は正しい?
これも、かなり曖昧な表現です。
アマチュアゴルファーにとって、
「もっとコンプレッションを高める」
とは何を意味するのでしょうか?
実際、多くのアマチュアでも、良い1球ならかなり良い当たりを打てます。
だから、
最高の1球のコンプレッションをさらに上げる
ことが、一番大きな課題とは限りません。
むしろ重要なのは、
悪いショットのコンプレッション低下を減らすこと
です。
つまり、
- ベストショット
- 普通のショット
- ミスショット
の差を小さくすることです。
これができれば、ベストショットの数字が変わらなくても、
平均のミート率・平均のコンプレッション
は上がります。
最大のコンプレッションより、ばらつきを減らす
そのために重要なのが、
クラブがインパクトゾーンへどう入り、どう抜けていくか
です。
例えば、
- 極端なインサイドアウト
- 極端なアウトサイドイン
になっていると、インパクト周辺でのクラブの動きが大きくなり、打点やデリバリーのばらつきも増えやすくなります。
一方で、クラブがOKゾーンから入り、OKゾーンへ抜けていけば、
- 大きなミスヒットが減る
- 打点が安定しやすい
- ミート率のばらつきが減る
- 平均パフォーマンスが上がる
という方向へ進みやすくなります。
多くのアマチュアに必要なのは、
最大コンプレッション
ではなく、
安定したコンプレッション
です。
そして、その入射ポテンシャルを見るときにも、P6.5は非常に使いやすいチェックポイントです。
ミート率が高ければ高いほど良いわけでもない
もう1つ、よくある考え方があります。
「ミート率が上がれば、必ず良くなる」
という考えです。
もちろん、ミート率がかなり低いのであれば、上げることは大きな改善になります。
ただし、
ミート率が上がったのに、実際のゴルフショットは悪くなる
ケースもあります。
例えば、ヘッドスピードが遅めのゴルファーが、
- ダイナミックロフトを減らしすぎる
- 打ち出しが低くなりすぎる
- スピンが少なくなりすぎる
とします。
インパクト効率だけを見れば、ミート率は上がるかもしれません。
でも、
- キャリーが減る
- 弾道が低すぎる
- グリーンで止まらない
なら、ゴルフショットとしては良くなっていません。
そして、ミート率は、
- ダイナミックロフト
- ハンドファースト量
- シャフトリーン
だけで決まりません。
打点も大きく影響します。
トゥやヒールに当たれば、ミート率は大きく落ちます。
だから、
「もっとハンドファーストにして、もっとコンプレッションを上げる」
だけでは、問題を正しく診断できないことがあります。
このあたりは、別の記事
「ハンドファーストで15ヤード以上飛距離を失う理由」
でも詳しく解説しています。
「ボールを右に置けばダウンブローになる」は正しい?
一部は正しいです。
もしロボットが、まったく同じスイングを繰り返していて、ボール位置だけを右へ移動したとします。
その場合、入射角は確実によりマイナス方向へ変わります。
つまり、
よりダウンブローになります。
これは幾何学的にそうなります。
でも、人間はロボットではありません。
ボール位置を右へ動かした瞬間に、無意識に別の動きをするかもしれません。
例えば、
- 体をさらに起こす
- 手元の動きを変える
- 体の動きを変える
- クラブをリルートする
- リリースを変える
といったことです。
すると、最終的な入射角は、
- よりマイナスになる
- ほとんど変わらない
- 逆に浅くなる
可能性があります。
だから、
ボールを右へ置くと、よりダウンブローになる「可能性」は高くなる。
でも、
実際の入射角が必ずマイナス方向へ増えるわけではない。
というのが、より正確です。
ボール位置を変えると、フェースが閉じる時間も変わる
ボール位置が変わると、入射角だけではなく、インパクトまでにフェースがどれだけ閉じる時間があるかも変わります。
一般的には、
- ボールが右 → トゥが閉じるまでの時間が短い
- ボールが左 → トゥが閉じるまでの時間が長い
と考えられます。
だから、もともとフェースが開きやすいゴルファーがボールを右へ置けば、
フェースがさらに開いた状態でインパクトする
可能性があります。
その結果、右へ出るミスが増えることもあります。
弾道計測に詳しい人なら「でも、入射角がダウンになるとパスも右へ行く」と思うかもしれない
ここで、少し詳しいゴルファーならこう思うかもしれません。
「でも、右打ちなら入射角がよりダウンになるほどクラブパスも右へ動く。だから、ボールを右へ置いたからといって単純に右へミスするとは限らないのでは?」
その通りです。
これは重要なポイントです。
入射角がよりマイナスになると、スイングの幾何学上、クラブパスも右方向へ動く可能性があります。
例えば、
- フェース:+4°
- パス:+4°
だったとします。
フェーストゥパスはほぼ0°です。
だから、大きく右へ曲がる球にはならないかもしれません。
比較的まっすぐ飛ぶ可能性があります。
でも、
それは「狙った方向へ飛んでいる」という意味ではありません。
フェースもパスも、ターゲットに対して約4°右を向いています。
つまり、
ボールは右へ出て、そのまま右へ飛ぶ
可能性があります。
そうなると、今度は、
- アドレスを左へ向ける
- アライメントを変える
- 別の動きで補正する
必要が出てくるかもしれません。
だから、
ボールを右へ置いたから、必ず「フェーストゥパスの右ミス」が増える
という単純な話ではありません。
でも、
スイング全体のパターンが右へずれる
可能性はあります。
ここが重要です。
ボール位置を変えると、
- 入射角
- クラブパス
- フェースが閉じるタイミング
- 打ち出し方向
- 必要なアライメント
まで変わる可能性があります。
だから、ボール位置は、
「ダウンブローにするための1変数だけを動かす方法」
ではありません。
そして、フェース角を変えるためだけにボール位置を動かす、という考え方でもありません。
「もっと左に乗ればダウンブローになる」は正しい?
これも、一部は正しいです。
左へのプレッシャー移動が増えると、一般的には入射角がよりマイナスになる可能性が高まります。
つまり、
ダウンブローになるポテンシャルは上がります。
でも、ゴルフスイングには他にも多くの動きがあります。
その動きが、
「右に残らないと、このスイングは成立しない」
と体に要求している場合があります。
例えば切り返しで、
- 手元が外へ出すぎる
- シャフトが縦になりすぎる
ゴルファーを考えてみます。
この人が右に残ることで、
- シャフトをシャローにする時間を作る
- クラブを再配置する
- フェース角を整える
- なんとかボールへ届かせる
という補正動作をしている可能性があります。
そこへ単純に、
「もっと早く左へ乗って」
と指示すると、
今までスイングを成立させていた補正動作を消してしまうかもしれません。
でも、根本のクラブデリバリーはそのままです。
つまり、
左へのプレッシャー移動は入射角に影響する。
でも、
その人のクラブデリバリーを見ずに、全員へ「もっと左」と言うことはできない。
ということです。
では、自分のスイングはどう確認すればいい?
TrackManやGCQuadが使えるなら、まずデータを見てください。
確認するのは、
- 入射角
- ダイナミックロフト
- スピンロフト
- ヘッドスピード
- 打ち出し角
- スピン量
- キャリー
- 弾道
です。
そして、
「このクラブ、このヘッドスピードに対して、今のデリバリーは機能しているか?」
を判断します。
TrackManがないなら、スマホ動画を使います。
後方(DTL)から
P6.5のシャフト角
を確認します。
アイアンでは、
20〜30°
が1つのOKゾーンです。
そして、
- 20°より小さい
- 20〜30°
- 30°より大きい
のどこにいるかを確認します。
これだけでも、
もっとダウンにする方向が良さそうか
を判断できます。
正面(フェースオン)から
次に、
- インパクトでの胸骨と骨盤中心の差
- 右サイドの側屈量
- 体全体の左右移動
- 左股関節の基準線
を確認します。
多くのアイアンでは、胸骨と骨盤中心の差は、
0〜10°程度
が1つのOKゾーンです。
左右移動については、
左脚の半分以上がアドレス時の左股関節ラインより左へ出ない
くらいを目安にします。
もちろん、TrackManほど正確ではありません。
でも、
「もっと打ち込む」という感覚だけで練習する
より、はるかに実用的です。
感覚は役に立つ。でも、証拠ではない
例えば、
「もっと打ち込む」
「もっと左に乗る」
「ボールを右へ置く」
「もっとハンドファーストにする」
「ボールを潰す」
という感覚を使うかもしれません。
どれも役立つ可能性があります。
でも、
その感覚を使ったからといって、実際のスイングが良くなったとは限りません。
もう一度撮影してください。
そして確認します。
- P6.5はOKゾーンへ近づいたか
- 胸骨と骨盤の関係は改善したか
- 左右移動はOKゾーンか
- 弾道は良くなったか
- 打点は安定したか
- ミスのばらつきは減ったか
これが、キウイゴルフで大切にしている視覚フィードバックループです。
感覚は入力。
チェックポイントが、実際に何が変わったかを教えてくれます。
正確なOKゾーンを知りたい場合
この記事では、
「自分は本当にもっとダウンブローに打つ必要があるのか?」
を判断する考え方を紹介しました。
ただし、ゴルフスイングにはP6.5以外にも、多くのチェックポイントがあります。
それぞれに、
- 少なすぎる
- OKゾーン
- 多すぎる
というOKゾーンがあります。
それを確認するために作ったのが、PGAガイドです。
PGAガイドでは、
- 視覚チェックポイント
- OKゾーン
- 各ポジションの基準
- 自分のスイングとの比較方法
を使って確認できます。
単に、
「もっとダウンブロー」
「もっとコンプレッション」
「もっと左」
「ターフを取れ」
という曖昧な言葉だけで練習する必要はありません。
実際にスイングを撮影して、
自分が今どの範囲にいるのか
を確認できます。
まとめ
「アイアンはもっとダウンブローで打て」
は、必ずしも正しいアドバイスではありません。
あなたにとって必要な場合もあります。
逆に、すでに十分ダウンに入っている人がさらに打ち込めば、OKゾーンから外れる可能性もあります。
本当に考えるべきなのは、
「自分はもっとダウンブローにする必要があるのか?」
です。
TrackManやGCQuadがあるなら、
- 入射角
- ダイナミックロフト
- スピンロフト
- ヘッドスピード
- 打ち出し
- スピン
- 弾道
を確認してください。
ない場合は、スマホ動画で確認します。
まずは、
後方(DTL)からP6.5のシャフト角
を見ます。
そのあと、必要に応じて正面(フェースオン)から体の関係も確認します。
そして覚えておいてください。
- ダウンブローは深いほど良いわけではない
- コンプレッションは高ければ高いほど良いわけではない
- 大きなディボットが正解とは限らない
- ハンドファーストが強いほど良いわけではない
- ボール位置を変えると、入射角以外も変わる
- 左へ乗る動きが、別の補正動作と関係していることもある
目標は、
一番「プロっぽい」インパクトを作ること
ではありません。
目標は、
自分のヘッドスピード、自分のクラブ、自分の弾道、自分のゴルフショットにとって機能するデリバリーを作ること
です。
そこを測れるようになれば、
「もっとダウンブローに打つべきか?」
という質問にも、ずっと正確に答えられるようになります。


