ミート率が上がって、打感も良くなって、インパクトも「プロっぽく」見える。なのに7番アイアンの飛距離は落ちる。そんなことが実際に起こります。
ゴルフのレッスン動画を少しでも見たことがあるなら、こんな言葉を一度は聞いたことがあると思います。
「アイアンはハンドファーストで打ちましょう」
あるいは、
「プロはインパクトで手元が先にあります」
ハンドファーストにすると、ボールをしっかり押せる。
分厚い打感になる。
ダフリが減る。
アイアンの飛距離も伸びる。
そんなふうに教わったことがあるかもしれません。
そして、その考え方の中には正しい部分もあります。
ただし、多くの場合、ものすごく大事なことが1つ抜けています。
あなたには、どれくらいのハンドファーストが必要なのか?
なぜなら、ゴルファーによっては、ハンドファーストを強くしたことで、150ヤード飛んでいた7番アイアンが135ヤードしか飛ばなくなることがあるからです。
場合によっては、それ以上に飛距離を失います。
しかも厄介なのは、数値だけを見ると「良くなった」と思ってしまう可能性があることです。
ミート率が上がる。
打感も気持ちよくなる。
同じヘッドスピードでも、ボール初速が上がる。
そして、インパクトの形も、真似したかったプロに近づいて見える。
それなのに、実際のショットは悪くなることがあります。
低い。
前に伸びない。
キャリーが減る。
グリーン手前のバンカーを越えにくくなる。
グリーンに止まりにくくなる。
だからこの記事で言いたいのは、
ハンドファーストは悪い
ということではありません。
そうではなく、もっと大事なことがあります。
正しいハンドファースト量は、そのゴルファーが必要としている球筋によって変わる。
この理由が分かると、インパクトの見方がかなり変わるはずです。
まず、なぜ僕たちの話を聞く価値があるのか
僕はキウイコーチです。
日本で活動しているアメリカ人ゴルフコーチです。
キウイゴルフでは、これまで日本国内で多くのゴルファーやアスリートの指導に関わってきました。
たとえば、阪神タイガースで活躍した金本知憲さんには、ドライバー飛距離を約280ヤードから約350ヤードまで伸ばすサポートをしました。
そのほかにも、みんなのゴルフダイジェストを通じたゴードン祐樹さんとの取り組み、ヨネックスのCM出演、Sho-Time Golfとの仕事など、さまざまな形で日本のゴルファーと関わってきました。
現在、キウイゴルフ全体ではフォロワー数が10万人を超え、毎月およそ70万人のゴルファーにリーチし、コンテンツは月間約300万〜600万回再生されています。
そして、僕たちがよく見る大きな問題の1つが、
ゴルファーが努力していないことではありません。
むしろその逆です。
本当に必要かどうかを確認していない動きを、ものすごく真面目に練習してしまっていることです。
ハンドファーストは、その典型例です。
なぜそうなるのかを理解するために、いったんゴルフのことは忘れてください。
庭のホースをイメージしてみましょう。
飛距離は「ホースの水」と同じように考えると分かりやすい
ホースから水を出しているところを想像してください。
水圧はずっと同じです。
その状態で、ホースをほぼ真上に向けます。
水は高く上がりますが、前にはあまり飛びません。
次に、ホースをほとんど地面に向けます。
水は勢いよく出ますが、すぐに地面に当たってしまいます。
その2つの間には、
同じ水圧でも、水が一番遠くまで飛ぶ角度
があります。
水圧は同じ。
変わったのは打ち出す角度だけ。
それなのに、結果は大きく変わります。
ゴルフもかなり似ています。
自分が持っているスピードに対して、ボールを効率よく飛ばすための
- 打ち出し角
- スピン量
- ボール初速
の組み合わせがあります。
高く打ち出しすぎて、スピンも多すぎれば、ボールは上に上がりすぎて飛距離を失うことがあります。
逆に、低く打ち出しすぎてスピンも少なすぎれば、ボールが十分に空中に残らず、やはり飛距離を失います。
だから、インパクトの何か1つの数値だけを最大化しようとするのは危険です。
ここで、ハンドファーストの話に戻ります。
ハンドファーストにすると何が変わるのか?
インパクトで手元がより先に出ると、一般的にはクラブのロフトが減ります。
簡単に言えば、
ハンドファーストが強くなるほど、インパクト時のロフトは少なくなりやすい。
ここから先を理解するために、まず2つだけ用語を覚えてください。
スタティックロフトとダイナミックロフト
スタティックロフト
スタティックロフトとは、クラブそのものに設定されているロフト角です。
7番アイアンを普通に置いたとき、そのクラブフェースについているロフト角がスタティックロフトです。
最近の7番アイアンは、メーカーやモデルによってロフト角がかなり違います。
分かりやすくするために、この記事では例として、
7番アイアンのスタティックロフトを35°
とします。
これはクラブ自体のロフト角です。
でも、この数字だけでは、実際にボールへ当たる瞬間に何度のロフトになっているかは分かりません。
そこで必要になるのが、次の数字です。
ダイナミックロフト
ダイナミックロフトとは、簡単に言うと、
実際にボールへ当たる瞬間、クラブが何度のロフトになっているか
です。
たとえば、スタティックロフト35°の7番アイアンでも、インパクトでは、
- 35°より多い
- ちょうど35°
- 35°より少ない
ということがありえます。
これは、その人がクラブをどう入れているかで変わります。
ハンドファーストが強くなるほど、一般的にはこのダイナミックロフトは減ります。
ここで、
「ハンドファーストは良い」
だけでは不十分だということが見えてきます。
なぜなら、必要なダイナミックロフトは、その人のヘッドスピードによっても変わるからです。
なぜヘッドスピードによって必要なダイナミックロフトが変わるのか
2人のゴルファーを想像してください。
同じようなダイナミックロフトで7番アイアンを打ち、ダウンブロー量も似ているとします。
大きな違いはヘッドスピードです。
片方は、もう片方よりかなり速く振っています。
一般的に、ヘッドスピードが速いほどボール初速も上がり、スピンを生み出すポテンシャルも高くなります。
ここで重要なのがバックスピンです。
バックスピンは、グリーンでボールを止めるためだけにあるわけではありません。
バックスピンは、ボールの空気中での動きにも影響します。
スピンが増えることで、ボールには揚力が生まれます。
つまり、スピードとスピンが増えるほど、ボールはより上に上がりやすくなります。
そのため、遅いヘッドスピードのゴルファーにはちょうどいいダイナミックロフトでも、速いヘッドスピードのゴルファーでは、打ち出しとスピンが多すぎることがあります。
速いゴルファーは、自分のスピードをより効率よく使うために、ダイナミックロフトを減らした方が良い場合があります。
またホースで考えてみましょう。
速いゴルファーは、より水圧が強い状態です。
水圧が強いなら、ホースを同じだけ上に向ける必要はありません。
上に向けすぎれば、水は高く上がるだけで、前方向への効率を失います。
だから、速いゴルファーは一般的に、
より少ないダイナミックロフト
を使うことができ、アイアンではそれが
より強いハンドファースト
として現れることがあります。
ハンドファーストそのものが優れているからではありません。
その人が持っているスピードに対して、打ち出し角とスピン量を最適化しようとしているからです。
7番アイアンが速いゴルファーを例にしてみましょう
たとえば、7番アイアンのヘッドスピードが、
40〜41m/s
くらいあるゴルファーを考えてみます。
このくらい速いプレーヤーでは、7番アイアンのダイナミックロフトが、
19〜21°
くらいになることがあります。
つまり、クラブ本来のスタティックロフトから大きくロフトを減らして当てています。
手元も明らかに先にあります。
それでも、このプレーヤーには十分なスピードがあるので、ダイナミックロフトが少なくても、しっかり機能する強い球を打つことができます。
- 十分なボール初速
- 必要な打ち出し角
- 必要なスピン
- 十分な最高到達点
- 強いキャリー
を作ることができます。
このプレーヤーにとっては、強めのハンドファーストが理にかなっています。
問題はここからです。
アマチュアゴルファーは、そのプロっぽいインパクトを見て、こう考えます。
「41m/sで振る人にこれが良いなら、自分にも良いはずだ」
でも、そうとは限りません。
では、7番アイアンが33m/sのゴルファーなら?
次に、7番アイアンのヘッドスピードが、
33m/s
のゴルファーを考えてみましょう。
その人がハンドファーストの動画をたくさん見ます。
そして一生懸命練習します。
手元をもっと前に出します。
最終的に、7番アイアンのダイナミックロフトを、
19〜21°
まで減らせるようになりました。
動画で見ると、かなり良く見えます。
プロのインパクトにも近づいて見えます。
そしてここで、面白いことが起こります。
ミート率が上がることがあります。
ミート率とは?
ミート率はとてもシンプルです。
ヘッドスピードに対して、どれだけボール初速を出せているか
という指標です。
ヘッドスピードが同じなのに、ボール初速が上がれば、ミート率は上がります。
そしてゴルフでは、ミート率は高いほど良い、と考えられがちです。
ミート率が高い。
効率が良い。
だから、良いショット。
本当にそうでしょうか?
必ずしもそうではありません。
33m/sのゴルファーがダイナミックロフトを減らします。
当たりが強くなります。
同じヘッドスピードでも、ボール初速が上がることがあります。
打感も、いわゆる「分厚い」感じになります。
ミート率も上がります。
本人はこう思うかもしれません。
「これだ。やっとアイアンを正しく打てるようになった」
でも、キャリーを測ってみると、
飛距離が落ちている。
そんなことが起こります。
ミート率は上がった。でも飛距離は落ちた。
もう一度、ホースを思い出してください。
水は効率よく出ています。
でも、ホースを下に向けすぎました。
33m/sのゴルファーには、40〜41m/sのゴルファーと同じだけのスピードやスピンを生み出すポテンシャルはありません。
その状態でダイナミックロフトを減らしすぎると、打ち出し角が低くなりすぎます。
弾道もフラットになります。
ボールが十分に空中に残りません。
19〜21°ではなく、同じ33m/sのゴルファーでも、
29〜31°くらいのダイナミックロフト
の方が、全体としてはるかに機能的な弾道になることがあります。
同じゴルファー。
同じヘッドスピード。
違うのはダイナミックロフトだけです。
それだけで、結果は大きく変わります。
ハンドファーストが強すぎる場合
- ミート率は高くなる
- 打感は強く感じる
- ダイナミックロフトは減る
- 打ち出し角は低くなる
- スピン量は減る
- 最高到達点は低くなる
- 落下角度は浅くなる
- キャリーは減る
より適切なダイナミックロフトの場合
同じゴルファーが、同じヘッドスピードで、
- ミート率は少し低くなるかもしれない
- 打ち出し角は高くなる
- スピン量がより適正になる
- 最高到達点が良くなる
- キャリーが伸びる
- より機能的な落下角度になる
ということがあります。
その結果、ミート率が少し低くても、
10ヤード、15ヤード、場合によっては20ヤード以上キャリーが伸びる
ことがあります。
ここがこの記事の中でも特に重要なポイントです。
ミート率を上げても、ゴルフショットそのものは悪くなることがある。
目的は、ミート率の数字で勝つことではありません。
目的は、より良いゴルフショットを打つことです。
「でも、打感はめちゃくちゃ良いんだけど?」
ここがゴルファーをさらに混乱させます。
ロフトを立てすぎたアイアンでも、打感はものすごく良く感じることがあります。
ボールがフェースから強く出て、上級者のアイアンにあるような、分厚く押せた感覚が出ることもあります。
でも、それだけでは弾道が機能的だとは言えません。
良いアイアンショットには、打感以外にも必要なものがあります。
- 必要な距離をキャリーする
- グリーン手前の障害物を越える
- 必要な最高到達点まで上がる
- 適切な角度で落下する
- グリーン上で止まる
150ヤード飛んでいた7番アイアンが、135ヤードの低いライナーになり、グリーンに落ちても奥まで転がってしまう。
それは、インパクトの打感が良くなったからといって、良いショットになったわけではありません。
だから、僕たちは球筋全体を見る必要があります。
ドライバーを見ると、この問題はもっと分かりやすい
それでもまだ、
「でも、上手い人は基本的にハンドファーストなんじゃないの?」
と思うなら、ドライバーを見てみてください。
自分のドライバーに書かれているロフトを確認してみましょう。
多くのドライバーは、だいたい、
8.5〜11°
くらいのスタティックロフトです。
この記事を読んでいる方の多くは、
9〜10°前後
を使っていると思います。
もし、
ハンドファーストは強いほど良い
のであれば、ドライバーでもさらにロフトを減らした方が良いはずです。
でも、実際のトッププレーヤーのドライバーインパクトを見ると、まったく違うことが起きています。
世界トップクラスの高速プレーヤーでも、ドライバーではロフトを増やしている
たとえば、あるプロが、
8°のドライバー
を使っているとします。
でもインパクトでは、ダイナミックロフトが、
13.5〜14°
くらいになることがあります。
これが何を意味するか考えてみてください。
クラブ自体のスタティックロフトは8°です。
でも、実際にボールへ当たる瞬間には、もっとロフトがついています。
つまり、約5〜6°ロフトを増やしています。
これは、先ほどのアイアンでロフトを大きく減らしていた話とは、かなり違います。
しかも、これはヘッドスピードが遅い人が高さを出すためにやっているわけではありません。
世界でもトップクラスに速く振る選手でも、こうしたインパクトになります。
なぜでしょうか?
答えはシンプルです。
目的は、
手元を前に出すこと
ではないからです。
目的は、
そのクラブに必要な打ち出し条件を作ること
だからです。
「それって、フェース上部に当たっているからじゃないの?」
少し詳しいゴルファーなら、ここで打点を考えると思います。
もちろん、それも関係します。
ドライバーは、どこに当たるかで打ち出し角やスピン量が変わります。
フェース上部に当たれば、フェース形状や縦のギア効果によって、弾道条件は変わります。
これは間違いなく重要な要素です。
ただし、フェースのやや上に当たっただけで、スタティックロフトとダイナミックロフトの差が丸ごと5〜6°生まれるわけではありません。
もっと大きなポイントは、
ドライバーでは、多くのトッププレーヤーが大きなフォワードシャフトリーンを作っていないということです。
手元はかなりニュートラルだったり、
「ハンドファーストは強いほど良い」という単純な考え方からすると、むしろ手元が遅れて見える場合もあります。
そして、ヘッドスピードが遅いゴルファーほど、使えるロフトをしっかり残すことがさらに重要になります。
ドライバーを見るだけで、ハンドファーストが「目的」ではないと分かる
一番シンプルに言うと、
もしハンドファーストが常に正しいなら、ドライバーのインパクトは説明できません。
7番アイアンには、7番アイアンに合った入れ方があります。
ドライバーには、別の入れ方があります。
7番アイアンを41m/sで振る人と、33m/sで振る人でも、必要なダイナミックロフトは変わります。
ゴルフボールは、あなたのインパクトがInstagramでプロっぽく見えるかどうかには興味がありません。
ボールは物理法則に反応するだけです。
だから、
ハンドファーストは「良いスイングの証明」ではありません。インパクト条件を作るための1つの変数です。
だから「ハンドファーストになるドリルをやりましょう」だけでは危険
ここで、最初に話したオンラインレッスンに戻りましょう。
誰かがドリルを紹介します。
そして、こう言います。
- 手元がもっと前に出る
- ボールをもっと押せる
- すくい打ちが減る
- アイアンがもっと飛ぶ
そのドリル自体は、ものすごく良いドリルかもしれません。
言っている通りの動きを、本当に作れるかもしれません。
でも、それだけでは、
あなたがそのドリルをやるべきかどうかは分かりません。
なぜなら、最初の質問に答えていないからです。
そもそも、あなたにはもっとハンドファーストが必要なのか?
必要かもしれません。
ダイナミックロフトが多すぎて、もっと手元を前に出した方が良い人もいます。
でも、すでに十分な範囲にいるかもしれません。
あるいは、すでに多すぎるかもしれません。
ここで、少し怖いことが起きます。
ドリル自体は大成功しているのに、スイングは悪くなることがある。
ドリルはちゃんと効きました。
ただ、そもそも存在していなかった問題を直してしまっただけです。
では、ハンドファーストはどれくらい必要なのか?
本当の意味で最適化するなら、1つの数字だけでは足りません。
理想的には、
- ヘッドスピード
- ボール初速
- スタティックロフト
- ダイナミックロフト
- アタックアングル
- 打ち出し角
- スピン量
- 打点
- 最高到達点
- キャリー
- 落下条件
などを見たいところです。
だから、TrackMan Optimizerのようなツールは非常に有効です。
また、ボールフライトの原理を理解しているコーチやクラブフィッターに見てもらう価値があるのも、こういう理由です。
1つの見た目だけではなく、ショット全体を見て判断できるからです。
ただ、この記事を、
「分かりました。高価な弾道測定器を買ってください」
で終わらせるつもりはありません。
今すぐスマホだけでできる、シンプルな視覚チェックポイントがあります。
フルの弾道測定やフィッティングの代わりにはなりません。
でも、少なくとも、
自分は本当にハンドファーストを増やす必要があるのか?
を考えるための、とても良いスタート地点になります。
7番アイアンでできる簡単なハンドファーストチェック
ここで紹介するチェックは、
7番アイアン専用
です。
ここは大事です。
これから紹介する角度を、そのままドライバーやウェッジ、すべてのクラブに当てはめないでください。
ここまで読んできた通り、クラブが変われば必要なインパクト条件も変わります。
今回はあくまで、
7番アイアンのチェックポイント
です。
手順1:正面からスローモーションで撮る
スイングを、
正面
から撮影してください。
そして、必ずスローモーションを使ってください。
インパクト付近ではクラブが非常に速く動くので、通常速度の動画だと、今回必要なフレームを飛ばしてしまうことがあります。
動画の中で、
- 手元
- 骨盤
- クラブ
- ボール
がはっきり見えるようにしてください。
そして、いつも通り7番アイアンを打ちます。
手順2:このポジションを探す
動画を1コマずつ進めます。
探してほしいのは、
手元の中心が、骨盤の中心、だいたいベルトのバックル付近と重なる瞬間
です。
これを基準にすると、正確なインパクトフレームを感覚で探すよりも、毎回かなり安定して同じポジションを見つけられます。
手元が骨盤中央に来たら、動画を止めます。
ここからシャフト角を測ります。
手順3:この角度を描く
角度の頂点を、
グリップエンド付近
に置きます。
1本目の線は、
シャフトに沿って引きます。
2本目の線は、
地面に対して垂直に、真下へ引きます。
右打ちのゴルファーを正面から見た場合、シャフトはその垂直線よりもターゲット方向、つまり画面上では左側へ傾いて見えます。
その2本の線の角度を測ってください。
この数字を見ることで、その時点でどれくらいハンドファーストになっているかを、かなりシンプルに確認できます。
7番アイアンの大まかな基準:15〜45°
このチェックポイントで、僕たちが使う大きな基準範囲は、
15〜45°
です。
かなり広いですよね。
それでいいんです。
なぜなら、ヘッドスピードが違うゴルファー同士が、まったく同じ形を目指す必要はないからです。
ここから、7番アイアンのヘッドスピードによって、基準をさらに絞ります。
7番アイアンが30〜36m/sくらいの場合
7番アイアンのヘッドスピードが、
30〜36m/s
くらいのゴルファーでは、僕たちはまず、
15〜25°
くらいを1つの目安にします。
このスピード帯では、ダイナミックロフトをある程度残しておくことが大切です。
速いプレーヤーほどのスピードやスピンを生み出す余裕がないからです。
そのため、手元を極端に前へ出してロフトを減らしすぎると、先ほど説明した問題が起きやすくなります。
- 打ち出しが低すぎる
- 最高到達点が低い
- キャリーが足りない
- 落下角度が機能的ではない
たとえば、あなたの7番アイアンが33m/sだったとします。
スイングを撮ります。
この角度を測ります。
すでに、
20°
だったとします。
そのあと、SNSでプロが35°になっている動画を見たとします。
そこで、
「自分はあと15°もハンドファーストを増やさないといけない」
と思うべきでしょうか?
いいえ。
そのプロは、あなたよりかなり速く振っているかもしれません。
あなたの20°は、今のヘッドスピードに対して、すでにかなり適切な可能性があります。
7番アイアンが37〜41m/sくらいの場合
7番アイアンのヘッドスピードが、
37〜41m/s
くらいのゴルファーでは、基準を、
25〜45°
くらいに広げます。
このスピード帯では、より多くのスピードとスピンを生み出せます。
そのため、ハンドファーストが強めでも、十分な打ち出し角、スピン量、最高到達点を作りやすくなります。
むしろ、ダイナミックロフトを少し強めに減らすことで、打ち出しやスピンが増えすぎるのを抑え、より効率の良い弾道にできる場合があります。
ただし、ここでも大事なのは、
41m/sのゴルファーだからといって、必ず45°にしなければいけないわけではないということです。
これはあくまで範囲です。
1つの万能な数字を、別の万能な数字に置き換えたいわけではありません。
目的は、
自分が明らかに適正範囲から外れているのか?
を判断するための基準を持つことです。
30m/s未満、または41m/sを超える場合は?
もちろん、7番アイアンが、
30m/s未満
の人もいます。
そして、
41m/sを大きく超える
人もいます。
それらは、より極端なスピード帯です。
また、同じヘッドスピードでも、
- スタティックロフト
- アタックアングル
- 打点
- クラブ設計
- ボール
- スピン特性
- シャフト
- 個人のデリバリー
などによって、最適な条件は変わります。
なので、この角度を「世界中のすべてのゴルファーに当てはまる完璧な数式」として使わないでください。
あくまで、
実用的なスタート地点
です。
このチェックをするだけでも、
- ハンドファーストが多すぎる可能性があるのか
- 少なすぎる可能性があるのか
- すでに妥当な範囲にいるのか
- そもそもハンドファーストのドリルをやる必要があるのか
を考えられるようになります。
それだけでも、無駄な練習をかなり減らせます。
これは「スイング保険」だと思ってください
オンラインでゴルフを学ぶなら、ぜひ身につけてほしい習慣があります。
何かを変える前に、
撮る。
測る。
今どこにいるか確認する。
そのあとで、変える必要があるかを決める。
これを、
スイング保険
だと思ってください。
ハンドファーストについて、とても良い動画を見つけたとします。
その瞬間から3か月間、そのドリルをやり続けるのではなく、まず30秒だけ使って自分のスイングを確認してください。
たとえば、
「7番アイアンは33m/sで、今すでに21°ある」
と分かったとします。
それなら、もっとハンドファーストにする必要はないかもしれません。
その動画は別の誰かには最高のアドバイスでも、あなたには必要ない可能性があります。
30秒の視覚チェックポイントで、何か月もの不要な練習を避けられることがあります。
もう一度、33m/sのゴルファーを想像してみましょう
このゴルファーは最初、
20〜22°
くらいでした。
7番アイアンは、
150ヤード
くらい飛んでいました。
でも、プロはもっとハンドファーストだという動画をたくさん見ます。
そこから練習を始めます。
毎日やります。
最終的に、
35〜40°
まで持っていけるようになりました。
成功です。
インパクトは、真似していた速いプロにかなり近づいて見えます。
打感もものすごく強い。
ミート率も上がります。
動画で見ても、スイングは「良くなった」ように見えます。
そこでキャリーを測ります。
135ヤード。
場合によっては、130ヤード。
そのゴルファーは、スイングを変えること自体には成功しました。
ただし、
変える方向を間違えました。
これこそが、最初に測る意味です。
ここまで話してきたものが「ボールフライトロー」です
ここで初めて、今まで話してきた考え方に名前をつけます。
- ヘッドスピード
- ボール初速
- ダイナミックロフト
- 打点
- 打ち出し角
- スピン
- フェースのデリバリー
- 空気中でのボールの飛び方
こうした関係を、ゴルフでは一般的に、
ボールフライトロー
と呼びます。
一番シンプルに言えば、
クラブがボールにどう当たるかによって、ボールがどう飛ぶのかを決める物理法則
です。
だから僕たちは、ゴルフスイングを「全員が同じ見た目を目指すもの」とは考えていません。
まず物理があります。
そして、動きはその物理を実現するためにあります。
これがアメリカ式スイング理論の土台です
こうした考え方が、僕たちの、
アメリカ式スイング理論
の土台になっています。
僕たちは最初に、
「プロがこう見えるから、あなたも真似しましょう」
とは考えません。
最初に考えるのは、
このゴルファーは、どんな球を打つ必要があるのか?
次に、
その球を作るには、どんなインパクト条件が必要なのか?
そして最後に、
そのインパクト条件を作りやすくするには、どんな動きやポジションが必要なのか?
と考えます。
だから僕たちのシステムでは、全員に1つの完璧な形を押しつけるのではなく、
視覚チェックポイントとOKゾーン
を使います。
この記事で紹介したハンドファーストのチェックポイントも、その1つです。
遅いゴルファーには、範囲の中でもある場所が合うかもしれない。
速いゴルファーには、別の場所が合うかもしれない。
ドライバーになれば、またまったく違う答えになります。
これは矛盾ではありません。
そこが重要なんです。
PGAガイド
この記事で紹介したチェックポイントは、システム全体のほんの1つです。
PGAガイドでは、僕たちが使っているスイングの視覚チェックポイントを、より広く学べるようにしています。
ガイドでは、
- 何を測るのか
- どの範囲ならOKなのか
- なぜその範囲なのか
- ボールフライトとどう関係するのか
- 何を変える必要があるのか
- 逆に、何を変えない方がいいのか
を理解できるようにしています。
目的は、また新しいスイングドリルを大量に渡すことではありません。
もっと大事なのは、
そのスイングアドバイスは、自分に本当に必要なのか?
を判断できるようになることです。
インターネットには、一生かかっても全部できないくらいのゴルフドリルがあります。
難しいのは、ドリルを見つけることではありません。
自分に必要なドリルを見つけることです。
スイングスコア:そのチェックポイントを自分のスイングに重ねる
この考え方を、自分のスイングにもっと簡単に使えるようにするために作ったのが、
スイングスコア
です。
スイングスコアは、PGAガイドのチェックポイントを使って、自分のスイングを診断できるアプリです。
自分のスイングを使って、
撮影 → 計測 → 比較 → 診断 → 本当に直すべきRoot Flaw(ルートフラウ)を決める
という流れで確認できます。
プロのスイングを見て、なんとなく真似するのではありません。
PGAガイドを手に入れると、スイングスコアを14日間無料で使えます。
また、スイングスコアだけを使いたい場合は、
月額997円
で利用できます。
「もっと正しいインパクト」に見せることを目的にしない
この記事の結論は、
ハンドファーストは悪い
ではありません。
そして、
ハンドファーストは良い
でもありません。
本当に大事なのは、
自分が作りたい球筋に対して、適切なハンドファースト量がある
ということです。
7番アイアンを33m/sで振るゴルファーと、41m/sで振るゴルファーでは、必要なインパクトが大きく違うことがあります。
ドライバーは、7番アイアンと同じ形にはなりません。
ミート率が上がったからといって、必ずキャリーが伸びるわけではありません。
分厚く当たったからといって、必ず機能的なショットになっているわけではありません。
そして、あるゴルファーにとって最高の動きが、別のゴルファーのスイングを悪くすることもあります。
だから次に誰かから、
「もっとハンドファーストにした方がいい」
と言われたら、まず1つだけやってください。
確認する。
あなたのスイングを、誰かのスイングに近づけることが目的ではありません。
あなたにとって一番良い球筋を作るインパクト条件を作ることが目的です。
PGAガイドで、視覚チェックポイントの全体像を学ぶ
そして、14日間無料のスイングスコアを使って、そのチェックポイントを自分のスイングに実際に重ねて確認してみてください。